第20章 卒業式
「高校生活はどうだったかな?」
「うーんとね…」
お茶を飲みながら校長先生に卒業式らしい話題を振られて、ちょっと考えてみる。
この3年間、色んなことがあった。
楽しいことも、そうじゃないことも、それはもう本当に色々…かなり濃ゆい3年だったと思う。
正直、こんな波乱万丈な日々が待ってるなんて、入学前は想像もしてなかったよね。
でも…
「うん…すごく、すごく楽しかったよ!」
振り返ってみれば、ほとんどのことは良い思い出になってるし。
何より全ての思い出に翔ちゃんがいる。
ここに来たから翔ちゃんと出会えたんだもん。
それだけでも、この学校に入った意味があった。
この学校を選んだ3年前の自分をめちゃくちゃ褒めてあげたいよ。
「俺もすごく楽しかったです。一生忘れない、宝物みたいな思い出がたくさん出来ました」
翔ちゃんは優等生らしく真面目に回答。
それを聞いて、翔ちゃんの思い出の中にも俺がいっぱいいたらいいなって思って。
ちらりと翔ちゃんを見たら、翔ちゃんも俺を見てた。
その目がすごく優しかったから、きっと翔ちゃんも俺と同じだと思えて。
嬉しくなって自然とニコニコしてしまう。
「俺、この学校に入って本当によかった!」
「そうか、そう言ってもらえると私も嬉しいよ」
俺たちの答えを聞いて、校長先生も本当に嬉しそうに笑ってた。