第20章 卒業式
「あのね…」
卒業式の後、校庭で囲まれたところから順を追って説明していく。
突然、大勢から一方的に好意を押し付けられたこと。
何を言っても聞いてもらえず、身の危険を感じるほどの状態になってしまったこと。
何とか逃げ出したけど、そのまま鬼ごっこ状態になってしまったこと。
なるべく簡潔に。
省きすぎてうまく伝わらなかったところは翔ちゃんに補足してもらいながら話していった。
「それは災難だったねぇ」
ひと通り聞いた校長先生は、同情するような、でもちょっとだけ面白がってるような顔をしたけど。
みんなが諦めて帰るまでここに居ればいいと言って、本当に騒ぎが落ち着くまで匿ってくれた。
「これだけ探してるのになんで見つからないんだ!?」
「諦めるな!!何が何でも捕まえるんだ!!」
なんて、ヒートアップして学校中を走り回ってるやつらの奇声は絶えず聞こえてきてたけど。
さすがに校長室に隠れてるとは思わないのか、ここまで突撃してくるやつはいなかったし。
あまりの大騒動に先生方が沈静化のため動いてくれたみたいで。
「一体何を騒いでるんだ!!」
「早く帰りなさい!!」
騒いでるやつらを先生たちが注意してまわってる声をBGMに、俺たちは校長先生とのお茶とお喋りをゆっくり楽しませてもらった。