• テキストサイズ

キミのとなりで ずっと【気象系BL】

第20章 卒業式



警戒する俺たちの近くで立ち止まった誰かは、それ以上こちらに近付いて来ることはなかった。

翔ちゃんの背中からそーっと顔を出して様子を伺ってみると、そいつはこちらに背を向けて立っていて。

もしかして俺たちの存在に気付いてない?

まだ油断しちゃダメだけど、全く振り向く素振りのない後ろ姿にホッとしてしまう。

誰かと待ち合わせしてるとか、たまたま何か用があってここに来ただけの、俺たちとは無関係なやつなのかもしれない。

それならば、このまま何も気付かずにここから立ち去ってくれ!

必死に祈っていたら、今度はバタバタと複数人の足音が聞こえてきた。

「居たか?」
「いや、向こうには居なかった!」
「荷物は教室にあったから、絶対まだ校内に居るはずだ!」
「………っっ」

聞こえてきた会話に、思わず声を上げそうになって。

慌てて手で口を押えた。

今度こそ俺たちを追ってきてるやつらっぽい。

走ってどんどんこちらに近付いてくる気配に、翔ちゃんが静かに身構える。

俺は今まで以上に壁にぴったり背中をつけて、少しでも目立たないよう身を小さくした。


ドタバタと走ってきたやつらは、そこに立ってるやつを見つけると足を止めた。

「なぁ!この辺で櫻井先輩と二宮先輩見なかったか?」
「は?櫻井先輩と二宮先輩?」

突然の問い掛けに、声を掛けられた方は戸惑ってるぽかったけど。

「2人ならさっき上で見たけど…」

………え?

そいつははっきりと “上で見た” と答えた。

/ 664ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp