第20章 卒業式
だって、気が付いたら数え切れないほどの顔も知らない後輩と思われる子たちに取り囲まれてて。
全員が俺たちをガン見してたんだよ。
そりゃ驚くでしょ。
何なの?
いつの間にこんなに集まってたの?
訳がわからなくて若干こわい。
でも怯える俺にはお構いなしに、すぐ近くでケンカが始まった。
「お前なに抜け駆けしてんだよ!」
翔ちゃんに告白しようとしてた子を、それを叫んで止めたと思われる子が責めてる。
抜け駆けってことは、こっちの子も翔ちゃんのことが好きなのか。
ため息を吐きたくなるけど、敵が増えたって負けるもんか!
それにどんな理由でだって告白を止めてくれたことについてはありがとうって思ってたけど。
「だって今日が最後のチャンスじゃん!!今日を逃したら、もう次はいつ会えるか分かんないじゃん!!」
「………それはそうだな」
告白しようとしてた子が力いっぱい言い返すと、責めてたはずの子はあっさり納得して。
しかもそれは、その子だけじゃなくて周りを囲んでる大多数にも響く言葉だったようで。
何となく周囲の空気が変わった?…なんて思っていたら。
「櫻井先輩!好きですっ…」
「俺も!ずっと憧れてました!」
「俺は二宮先輩のことが好きですっ…」
「思い出にボタンをください!」
「俺とツーショット写真をっ…」
何故か突然、告白大会が始まった。