第19章 誕生祝い to Sho * 3rd
「おい、ニノ!」
可愛いカズを抱き締めて幸せに浸っていたのに、それを邪魔するのは潤の低い声。
「なに?邪魔しないでくれる?」
カズも同じように感じたのか、不機嫌そうに潤を追い払おうとするけど。
「俺だって馬に蹴られたくねーから放っておきたいさ!でもな、これはスルーする訳にはいかないんだよ!」
ものすごく嫌そうな顔をしてるのに、潤も引かない。
「見ろ!」
潤が指さした先。
開け放たれたドアの向こうでは、智くんと風間がカズが脱ぎ散らかした服やウィッグなんかをせっせと片付けてくれてて。
どうやらカズは本当に着替えしかしなかったらしい。
「あ…」
カズも気付いてなかったようで、気まずそうな顔で口を押さえた。
「ごめん…智、風間…」
「いいよいいよ」
「気にしないで」
申し訳なさそうに謝るカズに、智くんたちは怒ることなくニコニコと手を振る。
でも潤は容赦ない。
「自分が散らかしたもんくらい、自分で片付けろ!」
「はい…ごめんなさい、お母さん…」
もっともだと思ったのかカズはしゅんとして潤にも素直に謝ったけど、神妙な顔して揶揄うことも忘れない。
「お前なぁ!!」
「えーん!智ー、潤くんがいじめるー!」
潤が怒りを顕にすると、カズは俺から離れて智くんに泣きつきに行った。