第19章 誕生祝い to Sho * 3rd
扉が閉まってカズたちの姿が完全に見えなくなると、ここまでついてきた野次馬たちの大半は名残惜しそうな顔をしつつ去っていった。
波が引くように人が減っていく様子を見てホッと息を吐く。
もちろん諦め悪くまだ残っているやつらもいるけど、人数的には大して多くない。
まぁ、少ないからその存在を許せるかっていうと、また話は別だけど。
いや…っていうか、数は減ったけど、まだここにいるやつらはむしろカズへの執着を感じさせる分、さっさと引いた大多数よりタチが悪いんじゃないか?
そこに思い至ると途端に嫌悪感が増して、残ったやつらに向ける視線も自然と鋭くなった。
睨まれたやつらは俺と目を合わさないようにみんな明後日の方向を見ている。
これくらいでビビるならさっさと退けばいいのに。
「睨んでる睨んでる」
「敵意剥き出しだな」
扉を背に守りながら威嚇する俺を見て潤と雅紀は笑うけれど。
何だかんだ言いつつ2人も周りを警戒してくれてるのが分かる。
俺1人でだってカズを守ってみせるけど、2人が居てくれればやっぱり心強かった。
そのまま3人で他愛もない話をしていたら、突然勢いよくドアが開いて。
「翔ちゃん!お待たせ!」
俺が予想していたよりかなり早くカズが飛び出してきた。
「え?は、早くない?」
慌てて時計を見るけど、まだ5分も経っていない。
でもカズは驚く俺にはお構いなしで。
「だって早く翔ちゃんのところに戻りたかったんだもん♡」
そんな可愛いことを言いながら、甘えるようにぎゅっと抱きついてきた。
可愛い。
やっぱり俺の恋人はとてつもなく可愛い。