第19章 誕生祝い to Sho * 3rd
「行くって簡単に言うけど、外ひどいことになってるぞ?」
「休み時間よりひどいんじゃない?」
カズたちの会話を聞いてちらりと扉の方に目をやった潤と雅紀が眉をしかめる。
確かに、廊下は今も可愛いカズを一目見ようと押し寄せた野次馬たちでぎゅうぎゅうで。
「無理じゃね?」
「ああ」
ぼそっと呟く潤に激しく同意だ。
とてもじゃないけど、こんな中カズを外に出すなんて出来ない。
でもカズと智くんは「たぶん大丈夫」なんて軽く言いながら、2人だけであっさり教室から出て行こうとするから。
「待って!!カズ!!」
「翔ちゃん♡」
慌てて追い掛けてその手を捕まえると、カズはぱっと顔を輝かせた。
「一緒に来てくれるの?」
「もちろん!!」
きゅるんとした上目遣いで聞かれて即答する。
ついて行かないなんて選択肢は最初から存在しない。
「ありがと♡」
嬉しそうに笑って腕にしがみついてくるカズは本当に本当に本当に可愛くて。
こんな可愛い恋人を狼だらけの外に出すなんてしたくないけど、カズがこの格好でここにいる限り、この人だかりが消えることはないだろうし。
クラスメイトが帰宅のために教室から出るのも難しいような状態で、誰かに着替えを取ってきてもらうのも無理だろう。
これは腹を括るしかない!!
カズのことは何があろうと俺が守る!!
覚悟を決めて、カズを背中に庇うように半歩前に出た。