第19章 誕生祝い to Sho * 3rd
「にのー、そろそろ着替えに行く?」
「うん、行くー!」
なんとか全ての授業を終えた放課後。
普段通り帰り支度をするカズを横目で見ながら、もしかしてこのまま帰るつもりかとドキドキソワソワしていたけど。
智くんが声を掛けると、カズはあっさり頷いた。
顔に出すのは何とか堪えたけど、内心ガックリと肩を落とす。
ちょっとだけ期待しちゃってたんだよね。
女子高生ver.のカズとの制服デートを。
でもまぁ、無理なのは分かってた。
いくら女の子にしか見えないと言っても基本はうちの制服のままだからね。
このまま外に出たら他校の生徒を混乱させそうだし。
それに、やっぱりこんなに可愛いカズをこれ以上誰にも見せたくなかった。
もう既に可愛いカズを見て鼻の下を伸ばす野郎共に腹が立って腹が立って仕方なくて、殴ってまわりたい衝動を必死に抑えてるんだ。
ここにはカズのことをよく知ってるうちの生徒しかいないから、ウザったいけどカズを傷つけるようなことをしたり言ったりするやつはあまりいないと思ってるし、味方も大勢いる。
でも外に出たら分からない。
不埒な真似をしようとするやつや、カズの正体に気付いて心ない言葉をぶつけてくるやつだっているかもしれない。
万が一にでもカズが傷つけられるようなことがあったら、俺はもう自分を抑えられないと思う。
だからカズの安全のためにも、俺の心の安寧のためにも、着替えてもらうのが一番いいんだ。
まだまだ可愛い女子高生姿のカズを見ていたいけど。
今日は忘れず写真を撮らせてもらったし、もう満足しなきゃだめだと自分に言い聞かせた。