第19章 誕生祝い to Sho * 3rd
不思議そうな顔をするカズに俺まで首を傾げてしまう。
「……着替え持ってきてるの?」
「ううん、置いて来た」
一応聞いてみるけど、カズはふるふると首を横に振る。
だよね。
そんな荷物持ってないもんね。
「じゃあ、やっぱりバスケ部の部室に行かなきゃだよね?」
間違ったことは言ってないはずなのに、何故だかカズの表情がどんどん曇っていって。
「……翔ちゃんは俺に早く着替えてほしいの?」
目をうるうるさせて不安そうに俺を見る。
ヤバい。これは答えを間違えると誤解させてしまうやつだ。
さすがに俺も学んでる。
これは即否定しないと!
「そんな訳ない!こんな可愛いカズずっとずっとずーっと見ていたいし、こんな短時間で着替えちゃうなんて勿体ないと思うよ!」
慌ててたから本音がダダ漏れてしまってちょっと恥ずかしい。
「翔ちゃん…♡」
まぁ、カズが嬉しそうにはにかんでくれたから良しとしよう。
「でも、俺のためにしてくれたことでカズが先生に怒られたら嫌だから…」
「あ、それなら大丈夫♡」
俺の一番の心配を伝えると、カズはあっけらかんと笑った。
「え…?」
「校長先生が可愛いから午後の授業はそのまま受けていいよって。言ってたよね?」
「うん」
カズが同意を求めると智くんがこくりと頷いた。
「校長?」
「さっき会ったの。可愛いって褒めてくれてね、今日はずっとそのままでいいよって」
なんと、いつの間にかカズは校長のハートまで鷲掴みにしていたらしい。