第19章 誕生祝い to Sho * 3rd
「ごちそうさまでした!」
「お粗末さまでした♡」
時間にあまり余裕がないと思っていたけど、無事昼休み中に弁当を完食することが出来てホッとする。
「美味しかった!ありがとう、カズ」
「どういたしまして♡」
パンパンに膨れた腹を擦りながら、嬉しそうに空っぽの弁当箱を片付けていくカズを眺めて、また幸せを噛み締める。
「おい、呑気に見惚れてる時間はないぞ」
「………分かってる」
可愛いカズに見惚れていたら、呆れたように潤のツッコミが入った。
思わずムッとしてしまうけど、このままいつまでも幸せの余韻に浸っていられないことは俺だって分かってる。
授業は待ってくれないからね。
カズの着替えの時間を考えると、確かにそろそろ動かないと間に合わないだろう。
「そろそろ行こうか」
「うん♡」
手を差し出せばカズは当たり前みたいに俺の手を掴んでくれて、そのままカズの手を引いて歩き出す。
いつも通りの行動なんだけど、歩くたびにカズの髪の毛がふわふわ、スカートがひらひら揺れるのが視界に入って、何だかソワソワ落ち着かない。
でもそのむず痒い感じも幸せだ。
ただ、カズが動くともれなく野次馬たちもついてきて。
ぞろぞろぞろぞろ、うざったいったらありゃしない!!
万が一にも不埒なことを考えるやつがいないように周りを威嚇しつつ、部室棟に足を向けるとカズが首を傾げた。
「翔ちゃん、どこ行くの?」
「バスケ部の部室だけど…」
「なんで?」
え?なんで?
さっき部室で着替えたって言ってたよね?