第19章 誕生祝い to Sho * 3rd
「お化粧も自分でしたの?」
「うん、昨日姉ちゃんに習ったの」
気になったことを尋ねてみると、予想通りの答えが返ってきた。
「……やっぱり変?」
「とんでもない!さっきも言ったけど、すごく可愛いよ!」
カズはちょっと不安そうな顔をするけど、変どころか可愛すぎて困るくらいだ。
確かにお姉さんにしてもらった時ほど手は込んでなさそうだけど、十分過ぎるくらい可愛い。
自分でお化粧まで出来てしまうなんて、カズは本当に器用だなぁと感心してしまう。
次にカズの女装が見れるのは1年後だと思っていたから、まさか昨日の今日でこんな可愛いカズを見られるなんて、夢みたいだ。
それにしても、カズが昨日帰ってからこれだけのことをしていたなんて。
女装の準備に、智くんたちとの打ち合わせに、メイクの練習に…
それだけでも大変そうなのに、さらに早起きしてこんな豪華なお弁当も作ってくれて。
もしかしたら、ほとんど寝ていないんじゃないだろうか。
俺が何の生産性もなく自己嫌悪だなんだ言ってうだうだしてる間に、カズは俺のためにってこんなに色々考えて動いてくれてたんだ。
自分のどうしようもなさが際立って情けなくなるけど、カズの気持ちが嬉しくて。
俺はカズにこんなにも愛されてるんだって思うと胸がいっぱいになって。
堪らずカズをぎゅっと抱き締めた。
「カズ…本当に、本当にありがとう」
「ふふ、どういたしまして♡翔ちゃんに喜んでもらえて嬉しい♡」
耳を擽る可愛い笑い声は本当に嬉しそうで。
幸せで幸せで、幸せ過ぎて涙が出そうだった。