第19章 誕生祝い to Sho * 3rd
俺を見つけた智くんは、こちらを指さしながら後ろの女の子に何か声を掛けた。
そうしたら、ずっと俯いてた女の子がパッと顔を上げて。
その顔を見た瞬間、卒倒しそうになった。
「翔ちゃん♡」
俺を見て嬉しそうに笑った女の子の正体が、カズだったから。
周囲にいた野次馬たちもギョッと目を見開いてカズを凝視していて。
今までのやかましさが嘘のように辺りが静かになった。
そんな中、カズは智くんの手を離して俺に向かってまっすぐ走ってくると、そのままぎゅっと抱きついた。
「遅くなっちゃってごめんね?心配した?」
きゅるんとした上目遣いで俺を見つめるカズがめちゃくちゃ可愛くて、反射的に抱き締め返す。
いや、確かにめちゃくちゃ心配してたけど。
そんなのもうどこかに飛んで行ってしまった。
「カズ……その格好は……何……なんで……」
とにかくなんで女装しているのかを聞きたいんだけど、驚き過ぎてて頭も口もうまく回らない。
「え?これ?」
それでもカズにはちゃんと伝わったようだ。
「これは翔ちゃんへのサプライズだよ♡」
あっけらかんと答えると、俺からちょっと離れて全身を見せてくれた。
よく見ればブレザーやワイシャツはそのままで。
ネクタイをリボンに、ズボンをスカートに変えただけだ。
それだけで、もうどっからどう見ても可愛い女子高生にしか見えなくなってる。
まぁ、ウィッグと薄化粧の力もあるかもだけど。
もしうちの学校が共学だったなら女子はこんな感じなんだろうなって思うくらい自然で違和感がない。