第19章 誕生祝い to Sho * 3rd
驚いて見つめる先で、まるで海を割ったモーセのように人垣の中から悠々と現れたのは智くんだった。
「え!?智くん!?」
なんで?
この騒ぎの元は智くんだったわけ?
でも当の智くんは、こんな大勢に囲まれてるのに気にした風もなくごく普通の顔をしていて。
パッと見た感じさっき別れた時と何も変わってないし、こんなに騒がれるような理由が全然見当たらない。
……っていうか、智くん1人!?
カズは!?一緒に居たんじゃないの!?
焦って目を凝らすと、人垣に隠れて見えていなかっただけで、智くんの後ろに人影が見えた。
でもホッとしたのも束の間、智くんに手を引かれて現れたのは女の子で。
……………え?
えっ!?カズじゃないの!?
2度見どころか10度見くらいしたけど、肩下まであるさらさらストレートの髪の毛に、膝丈のスカート。
人の視線を避けるように俯いてて顔はよく分からないけど、何度見ても智くんと一緒にいるのは女の子に見える。
え??何??誰??
何でうちの学校に女子がいるんだ??
そりゃ行事でも何でもない日に、校内に女子高生がいたらざわつくだろう。
しかも智くんと手を繋いで歩いてるんだから、この大騒ぎにも納得だ。
でも……
え?じゃあ、カズは一体どこに???
頭の中は大混乱で。
思わず呆然と立ち尽くしていたら、誰かを探すようにキョロキョロしていた智くんとバチッと目が合った。