第19章 誕生祝い to Sho * 3rd
待ちに待った昼休み。
いつもの学食、目の前にはカズの手作り弁当。
でも俺の隣にカズがいない…
いや、理由は分かってる。
智くんとパンを買いに行ってるんだよね。
そんなの毎日のことなんだけど、今日はカズはお弁当を作ってきてる。
だからカズがパンを買いに行く必要はないはずなんだ。
でもカズは休み時間になるなりお弁当の入ったバッグを俺に渡して。
「ごめんね、翔ちゃん。先に行っててね」
そう言いおいて、足早に智くんと購買へ向かってしまった。
カズが作ったお弁当は俺と自分の分だけだろうから、智くんは買わなきゃいけないっていうのは分かるんだよ。
でもカズまでついて行かなくてよくない?
今日、俺の誕生日だよ?
今日は俺を優先してほしい…
なんて思ったけど、口にすることは出来なかった。
昨日やらかしたばっかで、強く出れなかったのもあるし。
カズは何でも言ってほしいと言ってくれたものの、さすがに智くんにまでほんの数分でもカズと離れたくないから1人で買いに行ってとは言えないよね。
心が狭すぎて自分でも自分に引くわ。
カズにしたら昼休みに智くんと購買へ行くのは毎日のルーティンなんだろうし。
例え自分が買わなくても智くんに付き添うのは当然のことなんだろう。
こちらを振り返ることなく遠ざかって行く後ろ姿に寂しくなって、ついため息が漏れてしまうけど。
今さら呼び止めることも出来ず。
席を確保すべく、俺も潤たちと一緒に食堂へ移動したんだ。