第19章 誕生祝い to Sho * 3rd
何度思い返しても自分が最低過ぎて嫌になる。
『ねぇ、翔ちゃん。次からは女装してほしい時はそう言ってね』
でも昨日の別れ際、カズはそんな最低な俺にそう言ってにっこり笑った。
「翔ちゃんのお願いなら何でも叶えてあげたいもん」
「え?」
思いがけない言葉に目を瞬いていたら、カズは肩を竦めて小首を傾げた。
「そりゃ、ずっと女装してろって言われたらやだけど…翔ちゃんはそんなこと言わないでしょ?」
「それはもちろん!」
カズに女の子になってほしいわけじゃないから、ずっとなんて望むわけがない。
むしろありのままのカズが見れなくなるなんて絶対嫌だし。
当然のように即答したら、カズは嬉しそうにはにかんだ。
「だからいいよ。前ほどいやじゃないし、翔ちゃんが喜んでくれるなら女装くらいいくらでもする」
でもふっと悲しげな顔になって。
「でも俺翔ちゃんの望んでること察せないから、ちゃんと教えてほしいんだ…」
しゅんと俯いてしまうから焦ってしまった。
サプライズが出来なかったことをまだ気にしてしまっているらしい。
そんな俺にばっか都合のいい提案に乗ってもいいのか迷ってたけど、これ以上カズに自分を責めてほしくなくて。
「っ…分かった!ちゃんと言うようにするから!」
慌てて答えると、カズは顔を上げて安心したように笑った。