第19章 誕生祝い to Sho * 3rd
「ごめんね、カズ」
「俺こそ…今日は女装して来なくてごめんね…」
改めて謝ると、カズまで申し訳なさそうな顔になってしまった。
カズはそんな顔しなくていいのに。
やっぱりカズの誤解はまだ解けてない。
まだ自分が悪いって思ってる。
そりゃそうだよ。
俺がまだ何も伝えてないんだから。
「違うんだ、本当にカズが謝ることじゃないんだよ…俺がカッコつけて女装してほしいって言えなかったせいなんだから…」
「………カッコつけたの?」
正直に白状したら、カズの目が丸くなった。
「そう、こんな邪な欲望丸出しの望みを口に出すのが恥ずかしかったんだ…余裕がある男ぶりたかったんだよ…」
こんなこと暴露するのも恥ずかしいけど、ちゃんと話さないとカズの誤解はいつまで経っても解けないから。
俺のちっぽけな自尊心なんかより、カズの方がずっとずっと大切だ。
「だからカズのせいじゃない。カズは何も悪くない。全部全部俺が悪いんだ…本当にごめん」
「…翔ちゃんの望みを察せなかった俺が悪いんだよ」
でも、ここまで言ってもカズは自分が悪いと言い張る。
エスパーじゃないんだから分からなくて当たり前なのに。
「違うよ、隠した俺のせいだよ」
「でも…」
「カズ?」
「だって、本当の理由は俺に嫌な思いをさせないため…でしょ?」
なんでこんなに引かないんだろうと思っていたら、どうやらカッコつけたと言ったのはカズが気に病まないための嘘だと思っているらしい。