第19章 誕生祝い to Sho * 3rd
女装してないから?
だから何だろう?
俺を避けたことと女装してないことに一体何の関係があるんだ?
カズが何を言いたいのか分からなくて首を捻っていたら、カズがまたポツリと呟いた。
「翔ちゃんは人から変な目で見られたくないんでしょ?俺、翔ちゃんにいやな思いさせたくな…」
「他人の視線なんてどうでもいいよ!カズに触れない方が嫌だよ!」
まさかカズにそんな風に思われてたなんて知らなくて。
びっくりして思わず力いっぱいカズの言葉を遮ってしまった。
だって、何で突然そんなこと…
カズの目には、俺が人目を気にしてるように見えてたってこと?
正直、カズ以外にどう見られようと、どう思われようと、何とも思わないんだけど!
「……え?」
でもカズには予想外だったのか、目を丸くしてキョトンとしてる。
「カズには俺がそんなに周りを気にしてるように見えてたの?」
「そんなこと…ない…けど…」
逆に尋ねてみたら、カズはふるふると首を横に振ったけど、返事の歯切れは悪くて。
「俺は人の目を気にしたことなんて1度もないよ!」
これは早めに訂正しておかなきゃとキッパリ言い切った。
俺が気になるのはカズの目に俺がどう映ってるかってことだけで。
どうでもいい他人の視線を気にしてカズに触れないなんて、そんな勿体ないことしたくない。
行動でも示そうと、もう一度カズに向かって手を伸ばす。
カズはまた避けようとしたけど、今度は力任せに捕まえて抱き締めた。
「翔ちゃんっ…離してっ…」
「いやだ!」
カズは逃げ出そうとジタバタもがくけど、絶対にこの手は離さない。
だって、カズは俺に触られるのが嫌なんじゃないんだよね?
俺のことを思って避けただけなんだよね?
だったら遠慮なんてしない。
俺は誰にどう見られようと構わないんだから。