第19章 誕生祝い to Sho * 3rd
智くんは俺を睨みながら大きなため息を吐くと、自分にしがみつくカズをそっと引き剥がした。
「智…?」
カズが不安そうに智くんの腕を掴むと、智くんは優しくカズに笑い掛けた。
「ニノ、ちゃんと翔くんと話しておいで」
「…え?」
「翔くんの話を聞いて、ニノが思ってることを伝えて。それでもニノが納得出来なかったら戻っておいで。その時は俺が翔くんを懲らしめてあげるからね」
カズに向けて話してるから口調は優しいけど、その内容は俺には優しくない。
いや、当然なんだけど。
智くんが俺に向ける目は変わらず鋭いし、俺のことを全く許してないのはしっかり伝わってくる。
それでも智くんは自分の感情よりカズを優先してくれるんだ。
カズが掴んでいる手をはずすと、俺に向かってその背中を押し出した。
智くんには感謝しかない。
「智っ…やだっ…」
でもカズは逃げようとジタバタしてて。
反射的に捕まえようと手を伸ばしたら、カズはビクッと震えて俺の手を避けた。
「え…」
あからさまな拒絶に死にそうなくらいショックを受ける。
「……もう俺に触られるのもやだ?」
俺はそれほど嫌われてしまったのだろうか?
も、もしかして、このまま振られたりして?
ついさっき、振られそうだとか悪い想像をしてたけど、それが現実になるとは思ってなかった。
振られる覚悟なんて出来てない!
ってゆーか、カズと別れたら生きていけない!
ど、ど、ど、どうしよう…どうしたら…
内心、動揺しまくりで。
別れたくない!捨てないで!とカズに泣いて縋りかけたけど。
「ちがう…今日は女装してないから…」
「……………はい?」
行動に移す直前にポツリと呟かれた言葉に、途端に頭の中が?マークでいっぱいになった。