第19章 誕生祝い to Sho * 3rd
「ごめん…」
「謝らないで翔ちゃん…悪いのは俺だから…」
謝罪の言葉を繰り返していたら、カズの震える声に遮られた。
やっぱりカズは何も悪くない自分を責めていて。
「翔ちゃんの誕生日祝いを俺が台無しにしちゃった…ごめんなさい…」
智くんにしがみついたままこちらを見てはくれないけれど、その細い肩も震えていて。
胸がぎゅっと締め付けられる。
「カズは何も悪くない!俺が全部悪いんだよ!」
誤解を解かなきゃと必死になるけど、カズは首を横に振るだけで。
責められるよりずっと辛かった。
カズの心中を思うと胸が痛い。
風間の言う通り、カッコ悪くても何でも最初から素直にお願いしてれば良かった。
女装してきてほしいって。
断られてもいいから。
そうしたらこんな風にカズを傷付けることも追い詰めることもなかったのに…
「カズ、お願いだから顔を見せて…?」
カズの顔が見たかった。
顔を見て謝らせてほしかった。
でもどんなに懇願しても、カズは振り向いてくれなくて。
「……俺の顔なんてもう見たくない?」
そんな資格はないと分かっていても悲しくなる。
「そんなわけない!」
声のトーンから俺が落ち込んでることを察したのか、カズはすぐに否定してくれたけど。
「でも…翔ちゃんに合わす顔がないから…」
「カズ…」
それでもカズは頑なに顔を見せてくれなくて。
途方に暮れる俺に助け舟を出してくれたのは、意外にも智くんだった。