第19章 誕生祝い to Sho * 3rd
こんなに寒いのに背中を嫌な汗が伝っていく。
早く謝らなきゃって気持ちは焦っているのに、カズと向き合うのが怖くて体が動かない。
傷付けてしまったことは分かっていたけど、カズは俺に対して怒って幻滅してるはずだと思ってて。
もうこんなバカな俺には嫌気がさしてるんじゃないか…とか。
智くんが言ってたみたいに、カズも女の子と付き合えって思ってるんじゃないか…とか。
ネガティブな考えしか浮かんでこなくて。
向き合った瞬間に振られるような気がして怖かった。
まさかカズが自分が悪いと思い込んで、自分を責めているなんて想像もしてなかったんだ。
風間に教えてもらうまで気付けなかった俺は、自分のことしか考えてない本当にどうしようもないやつだ。
背中を押してもらってやっと足が動き出して。
まっすぐカズの元へ向かって走った。
今までで一番じゃないかってくらい怒ってる智くんはもちろん怖い。
でも智くんが怒るのは当然だ。
いくらでも殴られる覚悟は出来ている。
ただ、先にカズに謝らせてほしい。
カズは何も悪くないんだって、誤解を解かせてほしいんだ。
「ごめん、カズ…本当にごめん…」
守るようにカズをぎゅっと抱き締めながら俺を睨む智くんと、智くんにしがみついて俺を見ないカズ。
「ごめん、ごめんね…」
2人に向かって深く深く頭を下げた。