第19章 誕生祝い to Sho * 3rd
-Sside-
みんなでスケートに行った翌日、週明けの月曜日は俺の誕生日で。
今日も朝から天気が良いし、カズが弁当を作って来てくれることも決まっている。
でも去年のようにウキウキ浮かれる気持ちには全くなれなかった。
カズとの待ち合わせ場所に向かいながら、思い出すのは昨日のことで。
もう何度目か分からない自己嫌悪に陥って1人静かにため息を吐いた。
ちょっと前、俺の誕生日が近付いてきてカズに欲しいものを聞かれた時、真っ先に思い浮かんだのはまた女装したカズが見たいってことだった。
でもカズが女装にトラウマがあるのは嫌ってほど知ってるし。
そもそもその原因を作ったのは俺だし。
雅紀の誕生日の時にはだいぶ女装への嫌悪感が薄れてる感じはしたけど。
それでも俺から女装してほしいとは言えなかった。
あと、ちょっとカッコつけちゃったのもある。
欲しいものなんてないよ、カズが一緒にいてくれるだけで嬉しいよって。
もちろん本心ではあるけど、ちょっと余裕ぶりたかったんだよ。
見栄を張っちゃったっていうか。
でもさ、それならそれで、そのカッコつけを最後まで貫き通せばよかったのに。
いざ当日カズが女装していないのを目の当たりにした俺はガッカリした。
カズはいつも通りとても可愛かったのに、無意識のうちにサプライズを期待してしまっていたらしい。
いつの間にか欲深くなっていた自分に驚きつつも、その時は落胆したことを咄嗟に隠した。
何とか隠しきれたと思う。