第19章 誕生祝い to Sho * 3rd
多少怒りは和らいだんじゃないかと思ってたけど、振り向いた智の顔はまだまだ険しかった。
それでも顔が見れたことにかなりホッとした。
「智、本当にごめん…」
しっかり目を合わせてから、改めて頭を深く下げて。
「どうしたら許してくれる?」
もう自分ではこれ以上どう謝ったらいいか分からないから、直接智に尋ねてみることにした。
「どうしたらって…」
そんなこと聞かれると思っていなかったのか、智は怒ってるのを忘れたようにキョトンとして。
そのまましばらく戸惑ってるみたいだったけど。
「………何でもする?」
ふと何か思い付いたのか、俺を試すように見つめてきた。
その目からは完全に怒りの色が消えていて。
「する!するよ!智が許してくれるなら何でもする!」
嬉しくなって食い気味に答えたら、智がにっこり笑った。
それがとても綺麗なんだけど、ちょっとゾッとするような笑顔で。
なんだか背筋がゾワゾワする。
嫌な予感しかしないが、今さら引くことも出来ない。
「じゃあ、次出掛ける時は潤が女装してね」
内心身構える俺に、智は笑顔のままそう告げた。
「……………は?」
一瞬、何を言われたのか分からなかった。
……女装?
……俺が?
……………え?俺が女装するの?
「自分で経験すれば、ちょっとは俺たちの気持ちが分かるでしょ」
智はとても良いことを思いついたと言わんばかりにニコニコご機嫌だったけど。
「……………」
咄嗟に何も答えられずにいたら、その眉間にぐっとシワが寄った。