第19章 誕生祝い to Sho * 3rd
言葉を重ねるにつれて、智から漂ってる怒りのオーラが少しずつ和らいでいってる気がして。
あと一息なんじゃないかと思うんだけど、そのあとちょっとが難しい。
智、意外と頑固だもんな…
あと一押しをどうしたらいいのか考えあぐねていたら
「智…」
俺たちのやり取りを翔の腕の中からじっと見ていたニノが、あまりにも智の反応がないことに不安になったのか、泣きそうな声で智を呼んだ。
俺のことはとことん無視していた智も、ニノの呼びかけには敏感に反応して。
すぐに振り向いたんだけど、ニノの目に涙が浮かんでいることに気付くとギョッと目を剥いた。
「ごめん、智…俺のせいで智まで…」
どうやらニノは俺たちのケンカも自分のせいだと思ってるらしい。
「違うよ!ニノは何も悪くない!」
「でも…俺がもっとちゃんとしてたら…」
智はオロオロしながらも即座に否定する。
智の言う通りニノは悪くない。
どう考えても悪いのは俺だ。
でもニノはそうは思えないようで。
「2人が仲直り出来なかったら…俺、どうしよう…」
「ニノ…」
グズグズと泣きそうなニノに、智が困ったように口を閉ざした。
しばらく何かを考えているようだったけど、やがて頭をガシガシ掻きながら大きな大きなため息を吐いて。
見るからにイヤだけど仕方なくって感じで、俺の方を向いてくれた。
俺への怒りはまだ消えていないけど、ニノの涙には勝てなかったんだろう。
結果的に助け舟を出してくれたニノに、心の中でめちゃくちゃ感謝した。