第19章 誕生祝い to Sho * 3rd
ものすごいスピードで向かってくる翔に気付いて、ニノが目に見えて動揺した。
そんなニノを守るように、智がニノをぎゅっと抱き締める。
智はそのまま射殺しそうな目で翔をめちゃくちゃ睨みつけたけど、翔はもう怯まなかった。
智たちの真正面に立って2人に向かってひたすら頭を下げ続ける。
しばらくは誰も動かず膠着状態だったけれど、やがて智が根負けしたみたいにため息を吐いて。
翔に向かってそっとニノの背中を押し出した。
まだ許してはいないと思う。
翔を睨む目は変わらず鋭いし。
それでも、翔しかニノに笑顔を取り戻せないって智も分かってるんだ。
翔が手を伸ばしても、最初はニノが避けるような素振りを見せていたけど。
半ば強引に翔がニノを抱き締めると、ニノもおとなしくなった。
ニノは怒ってないらしいし、後は翔が誤解を解くだけだ。
ここまで来れば仲直りもすぐだろう。
風間がホッと安堵の息を吐く。
俺も安心して胸をなで下ろしていたら、今度は雅紀が風間に向かって頭を下げた。
「風ぽん…ごめんね…」
「俺じゃなくて、ニノと大ちゃんに謝ってよ」
「分かってる、後でちゃんと謝るよ…でも風ぽんにも…本当にごめんね…」
しょんぼり落ち込む雅紀に、風間は仕方ないなって顔で苦笑して。
「今回はちょっと調子に乗りすぎちゃったね」
「…うん」
「次からは気をつけてね」
「…うん、気をつけます」
優しく注意するだけで雅紀のことを許してた。
風間自身はそんなに怒ってなかったんだろうな。