第19章 誕生祝い to Sho * 3rd
「でもね、ニノは怒ってない。それどころか、自分のせいで翔くんのお祝いを台無しにしちゃったって自分を責めてる。ニノは何も悪くないのに…」
「そんな…」
風間がやるせなさそうにぽつりと呟くと、翔が言葉を失った。
俺も何も言えなかった。
怒っていいのに…と思う。
ふざけんなって。
勝手なことばかり言うなって。
ニノには怒る権利があるのに。
ニノは俺たちじゃなくて、何も悪くない自分を責めるのか…
傷付ききったニノの顔を思い出して胸が痛くなる。
軽率な自分の発言を改めて猛省した。
「ねぇ、そんなに女装がいい?ニノは女装なんてしてなくてもすごく可愛いのに、一体何が不満なの?」
「不満なんてっ…そんなの…あるわけない…」
勢いよく否定した翔だったけど、風間の責めるような視線に負けて、その声はどんどん小さくなっていく。
「今この瞬間もニノは自分を責めて苦しんでるんだよ?翔くんはここで何してるの?どんなに反省してたってニノに伝わらなければ意味がないんじゃないの?」
翔を非難する風間はどこかもどかしそうで。
「俺たちが何を言ってもニノには届かない…翔くんしかニノを笑顔に出来ないんだよ。お願いだから、早くニノの誤解を解いてあげて…」
最後はほとんど懇願だった。
風間が心からニノを心配しているのが伝わってくる。
俯いていた翔がハッとしたように顔を上げた。
「ごめん、風間…」
「俺じゃなくてニノに謝って」
情けない顔で頭を下げる翔の謝罪を、風間はバッサリ切り捨てる。
「早く行って!」
「………ありがとう」
風間に背中を押されて、やっと翔がニノに向かって走り出した。