第19章 誕生祝い to Sho * 3rd
やがて目的地のスケートリンクにたどり着いたけれど、智たちは受付の前を通り過ぎて人のあまりいない場所で足を止めた。
とてもそのまま滑れるような気分ではないんだろう。
俺たちだって、とてもじゃないけどスケートを楽しめるような状態ではない。
智たちが立ち止まった今なら追い付けるけれど、本気で怒って拒絶している智にどう声を掛けたらいいのか分からなくて。
結局3人とは距離を取ったまま、俺たちの足も自然と止まってしまった。
黙って智たちの背中を見つめる。
距離があるから話してる内容は聞こえないけれど、泣きそうな顔で俯くニノを智と風間が一生懸命励ましているのは分かる。
翔は顔面蒼白でニノをじっと見つめていて。
雅紀は向こうと視線を行ったり来たりさせてはオロオロしてる。
でも誰も動かない。動けない。
このままでいいはずない。
このままじゃ取り返しのつかないことになる。
今すぐ謝らなきゃ…
頭では分かっているのに体は動かなくて。
気持ちばかりが焦る。
そんな情けない俺たちに救いの手を差し伸べてくれたのは風間だった。
風間はちらりとこちらを見てから、智とニノに一言二言声を掛けて。
2人のそばを離れると、小走りでこちらにやって来た。
風間の動きを目で追っていたニノがこちらを向いたけど、翔と目が合うと思いっきりを顔を背けた。
「カズ…」
翔はショックで死にそうになってるけど、俺はニノに意識してもらえてる翔が羨ましい。
相変わらずこちらを見向きもしない智の背中に、キリキリ痛む胃をそっと押さえた。