第19章 誕生祝い to Sho * 3rd
でもバカな俺たちは、2人が怒ってないのをいいことに悪ノリしてしまった。
話をやめるどころか調子に乗っちゃったんだよ。
おそらく誰よりも期待して誰よりもガッカリしていただろう翔は、それでもニノのことを思って一切顔にも態度にも出さないようにしていた。
せめて、そのまま翔を巻き込まずにいれば良かったんだ。
でも雅紀は翔にも同意を求めた。
翔は軽率に頷いたりはしなかったけど、すぐに否定もしなかった。
それでニノは気付いてしまったんだと思う。
翔も俺たちと同じ気持ちだってことに。
ニノは自分のこと以外には本当によく気が付くから。
でもバカみたいに女装話で盛り上がっていた俺たちは、ニノが黙り込んでしまったことに気が付かなかった。
しかも我慢できなくなったのか、結局翔も会話に入ってきて。
最終的には誰よりも熱くニノの女装の可愛さについて力説してた。
………あれじゃニノじゃなくても翔がニノの女装を熱望してたって気付くな。
今さら言い訳にしかならないのは重々承知しているが、それでも言わせてもらえるなら、俺たちに悪気はなかった。
一種の恋人自慢みたいなもんだったんだよ。
でもちょっとは考えるべきだったんだ。
俺たちの話を聞いてニノや智がどんな気持ちになるのかを。
しまったと思った時にはもう遅かった。
ニノは傷付ききった顔で項垂れ、智はブチ切れ、いつの間にか合流していた風間は困り顔だった。
もう全面的に俺たちが悪い。
ニノは何も悪くないのに、勝手に期待して勝手に落胆して。
何も考えずに好き勝手なことばっか言って。
ニノを傷付けた。
…いや、ニノだけじゃない。
俺は智のことも傷付けたんだ。
智が怒るのも当然だ。