第19章 誕生祝い to Sho * 3rd
「風間も?俺が女装してくると思ってた?」
「……うん」
同じことを問い掛けると風間も躊躇いがちに頷いた。
「そっか…」
智も風間も俺が女装してくるって思ってた。
つまり俺以外はみんな同じように考えてたってこと。
思いつきもしなかったのは俺だけだったんだ。
もう一度振り向くと、翔ちゃんたちは近くまで来ていたけれど。
俺たちの様子を伺ってるのか、一定の距離を保っていてそれ以上近付いて来ようとはしない。
そんな3人に智はまだ怒ってるし、風間は困ってる。
「事前に智と風間に相談すればよかった…」
プレゼントに悩んだとき、翔ちゃんの答えを真に受けずに2人にも相談していれば。
それでみんなで女装して来てれば、誰のこともガッカリさせずに済んだし、智に嫌な思いをさせることもなかった。
きっとこんな状態になることなく、みんな笑顔で楽しく過ごせたのに…
「俺が翔ちゃんのお祝いを台無しにしちゃったんだ…」
なんで気付けなかったんだろう。
なんでもっとよく考えなかったんだろう。
後悔に押しつぶされそうだ。
「ごめんなさい…」
誰に何をどう謝ればいいのかも分からない。
でも謝らずにはいられなくて。
「本当にごめんなさい…ごめ…」
「ニノっ!」
何度も繰り返し口にしていたら、智に無理やり遮られた。
「ちがうよ!ニノは何も悪くない!悪いのはデリカシーのないあのバカたちだから!」
「ニノが謝ることなんて何もないよ。女装なんてしない方が普通なんだから…」
「そうだよ!女装なんてしなくてもニノは可愛いし!」
「うんうん!今日の格好も可愛いよ」
風間も一緒になって、落ち込む俺を一生懸命励まそうとしてくれる。
2人の優しさは胸に沁みたけれど。
沈みきった気持ちが浮上することはなかった。