第19章 誕生祝い to Sho * 3rd
今まで翔ちゃんが手を繋ぐのを嫌がったことはなかった。
少なくとも嫌がってる素振りを俺に見せたことはなかったと思う。
心配だからって翔ちゃんから繋いでくれることも多いし。
でも、手を繋ぐことと人目が気になるのは別の問題なのかもしれない。
俺と手を繋ぐことは嫌じゃなくても、そのせいで奇異の目で見られるのは嫌だったのかも。
今も翔ちゃんと繋いだままの手を見る。
いつの間にか、どこでも手を繋ぐのが当たり前みたいに思っちゃってたけど。
全然当たり前じゃなかったんだ。
俺が気付かなかっただけで、ずっと無理させてたのかもしれない。
気付いたからにはこのままじゃダメだよね…
翔ちゃんが人目が気になるなら、これからは外ではただの友だちのフリをしなきゃ。
すごく悲しいけど、これ以上翔ちゃんに負担を掛ける訳にはいかないから。
そっと繋いでた手を離す。
次はいつ繋げるか分からない。
考えただけでさみしくて泣きたくなる。
でも翔ちゃんは手が離れたことに気付かなかった。
俺のことなんて見向きもせずに、雅紀と潤くんとそれぞれの好みのスカート丈について熱く語り合ってる。
絶対領域とかどうでもいいし…
俺と翔ちゃんの心の距離が遠すぎて本当に涙が出そうだった。