第19章 誕生祝い to Sho * 3rd
ばかばかしくて相手をする気が失せて来た頃に、潤くんが電車に乗り込んできた。
「おはよ、潤」
「ああ、おはよ…」
智がすぐに気付いて声を掛ける。
人が増えて、これで空気も変わるだろうとホッとしたのもつかの間。
潤くんは挨拶を返しながら声のした方に顔を向けて。
智を見て軽く目を見張ると、俺を見てまた智を見て……って、何これ?デジャヴ?
さっきの雅紀とほぼ同じ行動なんだけど。
「今日は女装じゃないんだな…」
セリフまで一緒じゃん!
「…潤くんまでそんなこと言うの?」
「俺まで?」
うんざりを隠す気にもなれずじとっと潤くんを睨むと、潤くんは不思議そうな顔をした。
「雅紀が全く同じこと言ってたんだよ」
苦笑した智が首を傾げる潤くんに教えてあげる。
「みんな思うことは一緒なんだって!」
潤くんが自分と同じことを考えてたと分かった雅紀は勢いづいて。
「流れ的に今日も女装してくるって思うよね!」
「まぁ…ちょっと思ってたな…」
同意を求められた潤くんはあっさり頷いた。
雅紀ほどあからさまではないけど、潤くんも智を見る目に落胆の色が浮かんでるもんね。
智の女装を期待してたんだろうね。
でもさ、何度も言うけど、恋人の女装を見たいなら本人に直接言ってほしい。
まぁ、智が素直に引き受けるかは知らないけど。
とにかく俺を巻き込まないでよ。