第19章 誕生祝い to Sho * 3rd
到着してすぐに雅紀が意味不明なことを言い出したから、みんな待ち合わせ場所の改札前で立ち止まっちゃってたんだけど。
時計を見た翔ちゃんに、電車の時間が…と声を掛けられて移動することになった。
話が中途半端に途切れて雅紀が何を言いたかったのか分からないままだけど、これ以上続けたい話題じゃなかったから全然いい。
でも電車に乗り込むと、雅紀はすぐに話を再開させた。
「潤の誕生日にも俺の誕生日にも女装してたじゃん!」
うぇぇ、まだ続けんのかよ…
「したけど…」
いやいや答えながら思い出す。
智を女装させたのは、潤くんが絶対喜ぶってわかってたから。女装がサプライズプレゼントになるってわかってたからだ。俺まで女装することになったのはただの事故。
風間の時は、風間が雅紀のために自ら女装したいって言い出したんだ。俺はその健気さに感動して手伝っただけ。一緒に女装したのも手伝いの一環だっただけだ。
「流れ的に今日もすると思うだろ!」
「なんでよ…」
雅紀が堂々と断言するけど、俺にはなんでその考えにたどり着くのかがわからない。
「俺、今日も女装するなんて一言も言ってないよね?」
「毎回サプライズだったから、今回もそうだと思ってたんだよ!」
何その思い込み…
雅紀の言いようにゲンナリした気持ちになる。
勝手な思い込みで期待されて、その通りにならなかったからって文句言われるなんて、迷惑でしかないんだけど。
大体さ、ごちゃごちゃ言ってるけど要は風間にまた女装してほしかったってことでしょ?
雅紀が見たいのは俺じゃなくて風間の女装姿だよね?
なら、そんなの俺に文句言う前に風間に直接頼めばいいだけの話じゃん。
風間は雅紀のお願いなら聞いてくれると思うよ。