第19章 誕生祝い to Sho * 3rd
駅に向かって歩いてたら、前方に見慣れた猫背を見つけた。
「智ー!!」
くるっと振り向いたのは、やっぱり智で。
「おはよー!!」
嬉しくなって手を振ったんだけど。
智は俺を見ると、ほんの一瞬何か言いたげな顔をした…ような気がした。
……なに?
「ニノ!翔くんも。おはよ」
でも次の瞬間には、いつも通りの笑顔を浮かべてて。
普通に挨拶してくれる。
「おはよう、智くん」
笑顔で挨拶を返す翔ちゃんも何にも気にしてなさそうで。
……また見間違いかな。
さっきの翔ちゃんのこともあったし今日は自分の目に自信がない。
「今日も仲良しだねぇ」
足を止めて待っててくれた智に追いつくと、智は俺たちの繋いだ手を見てふにゃりと笑った。
うん、やっぱりいつも通り。
やっぱり気のせいか…
今日はあんまり目の調子が良くないのかもしれないな。
「みんなでスケート行くのも3回目だね」
「今年こそ格好よく滑れるようになりたいなぁ…」
「翔ちゃんはいつだってカッコいいよ♡」
「滑れるようになるよとは言ってあげないんだね…」
「うふふ♡」
何でもない顔で会話をしつつ、2人にはバレないようにこっそり目をぱちぱちして確認してみる。
痛みはないし、違和感もない。
特に見えにくい感じもしない。
うーん…
目がおかしいわけじゃないのかな…