第2章 誕生祝い to Nino
翔くんは、俺たちのやり取りを優しく見守ってくれてたけど。
会話がひと段落したタイミングで、俺が握ってたニノの手をふんわりやんわりと回収していった。
表面上はニコニコしてたけど、内心ではやっぱりイヤだったんだな…
悪いことしたなーと思いつつ、ヤキモチ妬いてる翔くんが可愛くて。
つい笑っちゃったら、翔くんはちょっとバツの悪そうな顔をしてた。
一方、雅紀は
「なになに?何がごめんで何がありがとうなの?」
なんて、ニノに興味津々に質問してて。
確かに事情を知らなければ、今のやり取りだけじゃ意味不明だよね。
「あのね…」
翔くんはニノにサプライズのことも打ち明けたっぽいから、雅紀にも教えていいだろうと思って説明しようとしたのに。
「雅紀には内緒!」
「なんでだよ!教えろよ!」
「えー?どうしよっかなー?」
「おい!」
ニノが意地悪を言って、あっという間に口ゲンカが始まってしまった。
「電車来ちゃうから、そろそろ行こう?」
「うん♡」
でも翔くんが声を掛けるとニノはコロっと態度を変えて、さっさと雅紀に背を向けて歩き出す。
「はぁ…」
大きなため息を吐いてる雅紀には悪いけど、いつも通りのニノになんだかすごく安心する。
「ふふ、後で教えてあげるね」
「よろしく」
苦笑いしてる雅紀もどこか嬉しそうなのは、きっと気のせいじゃないはず。
「早くー!置いてっちゃうよ!」
笑いながらのんびり歩いていたらニノに怒られて。
雅紀と一緒に、慌てて後を追い掛けた。