第19章 誕生祝い to Sho * 3rd
そんな訳で今朝もこうして家で翔ちゃんを待ってるんだけど。
せめて翔ちゃんを1秒も待たせないように家の前で待ってようと思って。
約束の時間よりちょっと前に外に出たら、ちょうど翔ちゃんが公園の角を曲がってこちらに向かってくるところだった。
タイミングの良さに嬉しくなる。
「翔ちゃーん!」
「カズっ…」
大きく手を振りながら声を掛けると、翔ちゃんもすぐに気付いてパッと顔を上げて。
俺を見るなりそのまま固まった。
「え…?」
時間にしたらほんの一瞬だったと思う。
でも翔ちゃんの顔には明らかに落胆の色が浮かんでた。
え?なに?
なんでそんながっかりした顔するの?
まだ翔ちゃんと距離があったけど、見間違いじゃないよね。
俺、視力はいいもん。
もしかして、どっか変なのかな…
心配になって自分の格好を見下ろしてみるけど、正直よく分からない。
姉ちゃんに任せたから大丈夫だと思ったけど、翔ちゃんの好みじゃなかったとか?
不安でドキドキしだした胸をぎゅっと押さえる。
翔ちゃんに向かって駆け出そうとしていた足が全然動かない。
「カズっ、どうしたの?具合悪いの?」
気が付いたら翔ちゃんが目の前にいて。
ものすごく心配そうに俺を覗き込んでいた。
「もしかしてずっと外で待っててくれたの?体が冷えちゃったのかな…ごめんね、もっと早く来れば良かった…」
俺をあっためるようにぎゅっと抱き締めて背中や肩をさすってくれて。
「翔ちゃん…」
「ん?」
そっと呼びかければ優しい笑顔を見せてくれる。
いつも通りの翔ちゃんだ。