第18章 誕生祝い to Masaki * 3rd
本音を言っていいなら、俺だって風ぽんに女装してほしかった。
俺にだって可愛い恋人を見たいって欲望はあるもん。
だからそういう意味でも翔くんや潤が羨ましかった。
“いいなぁ” には、そんな気持ちも当然のように含まれてたんだよ。
「言えなかっただけで、俺は風ぽんにも女装してほしいなって思ってた…可愛い風ぽんが見たかった…でも風ぽんに嫌な思いさせたくなかったから言えなかった…」
風ぽんが女装を受け入れてくれるか分からなかったし、強制なんて絶対したくなかったから。
でも風ぽんは俺のことをよく見てくれてて。
俺も覚えてないくらいの小さな呟きから、俺の気持ちを察して。
自ら女装して俺の望みを叶えてくれた。
「だから今日はすごく驚いたけど、こんな可愛い風ぽんを見れて本当に本当に本当に嬉しいって思ってる」
……ああ、それなのに。
ここまでしてくれた風ぽんに、俺はまだお礼を伝えてないじゃん。
そりゃ、不安になるよね…
本当にごめんね、風ぽん…
「ありがとう、風ぽん」
既に繋いでる手だけじゃなくて、両手で風ぽんの手を捕まえて正面から風ぽんに向き合う。
「何より俺のためにここまでしてくれた気持ちが嬉しい」
ちゃんと俺の気持ちが届くように目を合わせてお礼を伝えると、安心したように風ぽんの表情が緩んだ。
「俺の自己満足だったかなって思ってたから…相葉ちゃんに喜んでもらえたなら俺も嬉しい…」
「めちゃくちゃ喜んでるよ!…なのに、すぐに伝えられなくてごめんね」
「ううん、そんなのいいよ」
俺の態度のせいで絶対傷付いたはずなのに、全然気にしないでねって逆に俺のことを気遣ってくれる風ぽんは実は天使なんじゃないかな。
本当に俺なんかには勿体ないくらいの恋人だよね。