第18章 誕生祝い to Masaki * 3rd
ニノはプンプン怒りながらも、風ぽんが女装しようと思ったきっかけやニノたちに頼んだ経緯なんかを教えてくれた。
「ニノ、いいから…」
「よくないよ!!」
風ぽんは恥ずかしいのかニノを止めようとするけど、ニノは黙らない。
正直、俺が言ったという “いいなぁ” という発言を俺はよく覚えてないんだけど。
そんな俺が何気なく発した一言のために、風ぽんはここまでしてくれたって…
俺、すげー愛されてるじゃん…
風ぽんの想いの深さに胸がぎゅっと締め付けられる。
感動してちょっと泣きそうだ。
でも俺の涙はニノの次の言葉で吹っ飛んだ。
「こんな健気で可愛い風間を泣かせるなんて!!風間が許しても俺は許さないからな!!」
「えっ!?」
風ぽんが泣いてる!?
ギョッとして、慌てて風ぽんの顔を覗き込む。
風ぽんはパッと顔を逸らしたけど、目元がキラリと光ったのが見えて。
「風ぽんっ!?」
焦ってその頬を両手で包んで無理やりこちらに向けた。
風ぽんは正確にはまだ泣いてはいなかったけど、その目には涙が溜まっていた。
そりゃそうだよ。
俺のためにって女装までしたのに、すぐに目を逸らされ何も言ってもらえず…そんなの泣きたくなるに決まってる。
「ごごごごめん!ごめんね、風ぽん!」
改めて自分の取ってしまった態度を猛省する。
でも風ぽんは、焦って謝る俺を見ると、さっと目元を拭って笑顔を浮かべた。
「謝らないでよ。俺こそごめんね」
なんで風ぽんが謝るの?
なんで笑ってくれるの?
ダメダメな俺のこと怒っていいのに…
なんならぶん殴ってくれたって構わないのに…