第18章 誕生祝い to Masaki * 3rd
バカップルから視線を移すと、2組のカップルを微笑ましそうに見守ってた智と目が合った。
智はふにゃっと笑うと、ゆっくりした足取りで俺の隣に移動してくる。
やべぇ、やっぱりめちゃくちゃ可愛い。
ボブも似合ってたけど、ロングヘアもよく似合ってるし。
そういえば、普通の洋服での女装は初めてじゃないか?
文化祭の時はメイド服とか衣装だったし、前回は浴衣で。
もちろんそれだってめちゃくちゃ似合ってて、めちゃくちゃ可愛かったけど。
こういう、いわゆる普通の格好でもめちゃくちゃ可愛いってすごいと思う。
「遅くなってごめんね?雅紀誤魔化すの大変じゃなかった?」
「いや、大丈夫…思ってたより早かったし…」
「そう?なら良かった」
申し訳なさそうに謝りながらこてっと首を傾げる仕草も、安心したようにニコっと笑う顔も、何もかもが可愛すぎてヤバい。
何にもしてなくても智は可愛いのに、女装の威力ハンパないな…
「なぁ、その格好…」
大体の予想はついてるけど、一応聞いてみる。
「ああ、今回は風間の付き合い」
うん、それは分かってる。
「俺の時と同じで、風間の女装が雅紀へのサプライズプレゼント?」
「そうそう」
「またニノの発案?」
「それがね、今回は風間が自発的にやりたいって言い出したんだよ。俺たちは手伝っただけ」
「へぇ…」
風間がねぇ。
てっきりまたニノが計画したのかと思ってた。
これは予想外だ。
「それでなんで風間だけじゃなくて3人で女装してんの?」
風間が自らやりたいって言ったんなら、風間だけが女装すれば良かったんじゃないのか?
いや、俺は智の女装が見れて嬉しいけど。
「だって風間が1人で女装するのは不安だって言うからさ。その気持ちは分かるし、何より雅紀のために一生懸命な風間がめちゃくちゃ健気で可愛かったから。力になってあげたかったんだよ」
なるほど。
そのおかげで、俺はまた可愛い智に会えたのか。
これは風間に感謝だな。