第17章 風邪引き
-Mside-
「ちょっと!なんでニノ泣かせるの!?」
「ごめ…ゴホッ…カズ…ゲホッゴホッ…」
「うぇぇ…」
怒り狂う智と咳き込みながらオロオロする翔とグズグズ泣くニノ。
カオスだな。
見舞いに来ただけなのに、どうしてこうなった?
「今日のニノ情緒不安定なんだから!不用意な発言しないで!」
………うん。
まぁ、その情緒不安定な原因も翔なんだけどな。
「ごめ…カズ…ケホッ…ごめ…」
慰めようとしたのか翔はいつものようにニノに向かって手を伸ばして。
その手がニノに触れる直前にハッとしたように動きを止めると、そのままサッと引っ込めてしまった。
「うぅぅ…」
それを見たニノの目からだーっと更に涙が溢れてくる。
「なんで?なんでぎゅってしてくれないの?」
「ごめ…」
ニノに涙ながらに問い詰められて翔も泣きそうになってるけど、それでも翔は手を出そうとはしない。
「カズに…風邪…ケホッ…うつしたくない…から…」
「翔ちゃん…」
それを聞いたニノは目をぱちぱちさせると、翔の胸に自ら飛び込んで行った。
「カズ…ダメっ…」
「うつっていいもん!」
翔は何とか二ノを離そうとするけど、ニノはしがみついて離れない。
「うつして翔ちゃんが治るなら、俺が全部もらうもん!」
「ダメ…だって…!」
普段の翔ならニノなんて簡単に引き剥がせそうなもんだけど、たぶん風邪のせいで力が出ないんだろう。
それでも翔は必死にジタバタしていたけど。
「翔ちゃんに何かあったら俺も死ぬから」
「カズ…」
ニノが真剣なトーンでそう告げると、ピタリと動きを止めた。
「だから早く元気になってね」
「うん…」
翔の腕が動いてニノをそっと抱き締める。
「ごめんね…絶対、カズを置いて死んだりしないから…」
「…うん、約束だからね」
「うん」
謝る翔の腕の中で、ニノはやっと笑顔を見せて。
「ありがとう…カズ…」
疲れた翔が寝てしまうまで、2人はぎゅっと抱き合っていた。
見舞いに来ただけなのに大騒ぎで疲れたけど。
まぁ、いつも通りっちゃいつも通りか。
2人が愛を深められたみたいで良かった…と思うことにしよう。
やれやれ…