第17章 風邪引き
おでこにヒヤリとした何かが触れて、ふっと意識が浮上した。
「…あ、起こしちゃった?ごめんね?」
目の前には心配そうに覗き込む可愛い可愛いカズ。
え?なんで?なんでカズがいるの?
突然のカズの登場に頭が混乱するけど。
いや、カズは学校に行ってるはず。
ということは…?
………これは夢だな!
熱のある頭は早々に夢だと結論付けた。
夢でもカズに会えれば嬉しい。
「…カ…ゲホッ、ゴホッゴホッ…」
喜びを伝えようとしたけど、喉がカラカラで咳き込んでしまう。
うぅ、苦しい…
夢なのにやたらリアルだな…
「翔ちゃん!?大丈夫!?」
「もうダメかも…苦しくて死にそう…」
夢ならば少しくらい甘えてもいいだろうと、心配そうなカズに弱音を吐いてみたら、カズの目からポロポロと涙が溢れた。
「えぇっ…ゲホッ…」
いくら夢とは言え、カズを泣かせてしまったことに焦っていたら。
ペシっと額に軽い衝撃が来て。
「人間そんな簡単に死なねーよ!」
「ちょっと!!何ニノのこと泣かしてくれてんの!?」
声のした方に視線を向けると、そこには呆れ顔の潤と怒り顔の智くんがいた。
「…え?…え?」
ますます混乱するけれど、どうやら潤にはたかれたらしい額はしっかり痛い。
あれ?もしかして、夢じゃないの?
「うぇぇ…翔ちゃん…」
ハッとして見るとカズがボロボロ泣いていて。
自分の失言に気付いて血の気が引いていく。
「カっ…ごめっ…ゴホッゴホッ…」
慌てて飛び起きたけど、相変わらず咳がひどくて全然喋れない。
呆れ顔のままの潤はため息を吐くと
「とりあえず水分取って落ち着け…」
背中を擦りながら、枕元に置いていたペットボトルを手渡してくれた。