第16章 誕生祝い to Satoshi * 3rd
-Oside-
思った以上に遅くなってしまった…
だって潤が歩くのが遅いんだもん。
急かさなかった俺も同罪かもだけど。
ニノ怒ってるかなぁ…
見つけた自販機で買った温かいペットボトルを抱えて、気持ち早歩きでニノたちの元に戻る途中
「………え?」
まだけっこう距離があるのに、砂浜にでかでかと書かれた文字が目に飛び込んできた。
♡HAPPY BIRTHDAY♡
♡SATOSHI♡
「何あれ…」
思わず足を止めかけた俺の背中を潤がそっと押す。
「ニノ発案の誕生日プレゼント」
驚く俺に潤が平然と教えてくれる。
……ってことは?
「潤知ってたの?」
「知ってた」
バレたか…みたいに舌を出して笑ってる顔が、いたずらが成功した子どもみたいで可愛くて、ちょっと悔しい。
歩くのが遅かったのもこのせいか!
俺のドキドキを返せ!ばか!
………まぁ、全部が時間稼ぎのための演技とは思わないけどさ。
「智ー!お誕生日おめでとうー!」
近づいて行ったら、満面の笑顔でニノが飛びついてきた。
ニノのさっきのワガママは完全に演技だったんだろうなぁ…すっかり騙されたなぁ…
でもそうだよね、ニノはワガママに見られがちだけど本当は違うもんね。
知ってたのに、簡単に騙されてごめんね。