第16章 誕生祝い to Satoshi * 3rd
-Mside-
「もう!ニノったら!ワガママなんだから!」
隣を歩く智はまだご機嫌ななめ。
珍しくニノに対して怒ってる。
「早く買ってもどろ!ニノ本当に寒そうだったし…風邪ひいちゃったら可哀想だし…」
でも、ぷりぷり怒りつつも、なんだかんだ結局甘い。
もう心配してるし。
「ふふっ」
そんな智が可愛くて、自然と笑みがこぼれて。
早歩きになってる智の腕を捕まえて、するりと恋人繋ぎにしてみた。
「なっ…///」
途端に真っ赤になって、足まで止まっちゃうのがまた可愛い。
「せっかく2人きりになれたんだからさ、ちょっとゆっくり行こうぜ」
「でも…ニノが…」
「いいじゃん、少しくらいニノより俺のこと優先してよ」
智が赤い顔でオロオロと視線をさ迷わせてるけど、俺は引かないよ。
言ってることは全部本心だけど。
ニノから頼まれてんだ。
智を足止めしてなるべく時間稼いでくれって。
ニノがサプライズしたいとか言い出した時は、ちょっと身構えたけど。
今回のは本当に可愛いやつで。
智も絶対喜ぶと思うから、こうして協力してんだ。
俺の仕事は智の足止め。
でもさ、せっかく2人きりの時間をもらったんだから、ついでにちょっとくらいデート気分を味合わせてもらってもバチは当たんねーだろ。
「手…」
「いや?」
「やじゃないけど…」
俺に離す気はないけど、智も振りほどこうとはしないから。
「誰も見てないよ…ってか、誰もいないし」
そのまま智の手を引いて、のんびり歩く。
「今日天気いいな」
「うん」
「冬の海もいいな」
「うん…俺は好き」
「俺も好きだな」
繋いだ手の温もりとなんてことない会話が幸せで。
少しでもこの時間を引き伸ばしたくて、わざとらしいくらいゆっくり歩いた。