第16章 誕生祝い to Satoshi * 3rd
「ありがと、ニノ」
受け止めたニノの体は冷たくて。
寒いのが苦手なのに、俺のために頑張ってくれたんだと思うと嬉しい。
でも、かなりの大作だからニノ1人じゃ絶対無理だよね。
「みんなも、ありがとね」
翔くんと、雅紀と、風間と。
頑張ってくれたであろうみんなの目を見てしっかりお礼を伝えると、みんな笑顔で口々におめでとうと祝ってくれた。
なんだか照れくさいけど、純粋に嬉しい。
のんびり歩きすぎたのか、空はもう夕焼けに染まってて。
オレンジ色の空と海を背景に、砂浜に書かれたちょっと不格好なでっかい文字がキラキラして見える。
みんなの愛を感じて胸があったかい。
1人静かに幸せを噛み締めてたんだけど。
「さ!じゃあ、寒いからもう移動しよ!」
見せるだけ見せて満足したのかニノがさっさと退散しようとするから。
「ちょっと!せっかくの大作なんだから、もうちょっとゆっくり見せてよ!」
思わずその手を掴んで引き止めてしまった。
いくら何でも早すぎるよ!
もうちょっと幸せに浸らせてほしいんだけど!
「えー…じゃあ忘れないようにしっかり目と心に焼き付けてね♡」
「……自信がないから写真に撮ろう」
「おい!そこは忘れないって言いなさいよ!」
「あはは」
素直にうんと言えなくて誤魔化しちゃったけど。
嘘だよ、一生忘れないよ。
素敵なプレゼントをありがとう。