第16章 誕生祝い to Satoshi * 3rd
-Aside-
「行った?」
「行ったね」
「よし!じゃあ、さっさと始めよう!」
見るからにめんどくさそうな顔をした智と苦笑いの潤を見送ると、ニノがくるりと振り返ってにっこり笑った。
実は砂浜に来たのも、智を買い出しに行かせたのも、全部ニノの計画通りなんだよね。
ちょっと前にニノが『智にもプチサプライズしたい♡』とか言い出して。
智を祝いたい気持ちはみんな一緒だから、もちろん即賛成したけど。
そんなにきっちりと計画を立ててたわけじゃなくて、行き当たりばったりというか。
流れに任せようみたいな感じで色々ざっくりしてたんだよ。
だから、どうなるかと思ってたんだけどさ。
「いやぁ、本当にカズの言った通りだったね」
「ね!本当に!」
やたら感心してる翔くんに全力で同意してしまう。
さっきのジャンケンも仕組まれてたんだよ。
ニノが『智が何出すか分かる』とか言ってさ。
半信半疑だったけど、本当に的中!
見事に智の一人勝ち!
「うふふ♡すごいでしょー♡」
「すごいっつーか、怖ぇ…」
「うるさいな!いいから早くして!」
「はいはい」
得意げなニノに本音をこぼしたら怒られた。
でもまじで怖くない?
ナチュラルな演技も。
人の考えてること分かるのも。
まぁ、智のジャンケンしか分かんないって言ってたけどさ。
なんかニノって人の心読めそうじゃない?
よく俺の考えてること言い当てるし。
ま、それは雅紀が分かりやすいだけだって言われるけどね。
「急がないと戻ってきちゃうね」
「潤くんになるべく時間稼ぎしてねとは頼んであるけど…」
「でも急いだ方がいいよね」
「うん」
風ぽんと翔くんはもう腕まくりまでして準備万端。
「じゃあ、始めよ!」
「おう!」
ニノの号令で俺も袖を捲って。
張り切って動き出した。