第16章 誕生祝い to Satoshi * 3rd
公園から海まではちょっと距離があったけど、さすがの翔くんは地図も頭に入れてきてて。
翔くんについて行ったら、ちゃんと砂浜にたどり着いた。
「わぁー♡海ー♡きれー♡」
「うんうん、綺麗だね」
キャッキャとはしゃぐニノが可愛い。
翔くんの目尻がでれっと下がってる。
「ここ、夏は泳げるんだって」
「へぇー」
こんな近場に海水浴場があるとは知らなかった。
じゃあ、きっと夏場は混むんだろうな。
今は散歩してる人が時々いるくらいでガランとしてるけど。
「そうなんだ!それなら夏にみんなで来ようよ!」
「えー…なんか…やだ…」
泳げると聞いて途端にテンションの上がる雅紀と下がるニノ。
対照的で面白いと思うけど。
「もう!ニノだって入っちゃえば楽しいくせに!」
「うるさい!あいばか!」
「すぐばかって言うのやめろ!」
また喧嘩が始まった。
本当に仲良いよね。
やかましいけど周りに人がいないから迷惑になることはないだろう。
とりあえず、うるさい2人は放っておいて海を眺める。
冬の海ってなんか綺麗に見える気がするんだよね。
空気が澄んでるからなのかな?
理由は分かんないけど、冷たい空気とキラキラの海の組み合わせが単純に好きだなって思う。
人が少ないのもいい。
「寒いー!」
「ニノが見に行こうって言ったんだろ!」
「温かいもの飲みたいー!」
しばらくボンヤリと海を眺めてたけど、あっという間にニノがごね出した。
飽きたのか、寒さに耐えられなくなったのか…まぁ、両方かな。
「自由すぎる…」
「ワガママ放題だな…」
潤と雅紀は呆れてるけど
「この辺、何にもないね」
「自販機すらないね」
翔くんと風間は辺りをキョロキョロ見回して、何かないかと探してる。
つられて俺も周りを見てみたけど本当に何もない。
ニノはガタガタ震えてるし、せっかくここまで来たけど仕方ない。
「戻ろっか」
「やだ」
えー…
もう戻るしかないと思ったのに、なぜかニノに即答で断られた。
寒いのも飲み物がほしいのもニノなのになんで?