第15章 誕生祝い to Jun * 3rd
「姉ちゃんと一緒に宥めすかして何とか女装させたんだよ」
「……そこまでしてニノを女装させる必要あったのか?」
だってこれは俺への誕生日プレゼントなんだろ?
そりゃニノも可愛いとは思うけど。
別に女装してほしいとも、してくれて嬉しいとも思わない。
俺が可愛い姿を見たいと思うのは智だけだ。
「まぁ、そうなんだけど」
「だろ?」
理由はいくつかあるんだよって言って。
「姉ちゃんが逃げるのを許さなかったのと、俺も言い出しっぺのニノを女装の道連れにしたかったのと…」
智が一つ一つニノに女装させた理由を挙げていく。
でも、なんか違和感を感じる。
だって、どれも泣いて嫌がるニノに智が強要するほどの理由とは思えない。
ニノに激甘な智だ。
こんくらいの理由しかないならニノが泣く前に無理して着なくていいよって言いそうじゃん。
内心首を傾げていたけど、次の理由を聞いて納得した。
「…あとはね、ニノのトラウマを克服させてあげたかったんだ。だって、そもそもがニノの誤解なんだよ?そんなんで、いつまでも苦しんでるなんて可哀想じゃん」
これが1番の理由だろう。
それなら分かる。
確かに、この女装に対するトラウマは完全にニノの勘違いと思い込みだもんな。
「トラウマ克服か…それなら上手くいったんじゃね?」
ちらりといつも通りイチャついてるバカップルに視線を向ける。
デロンデロンににやけてる翔と、花のような笑顔を見せているニノ。
2人は本当にいつも通りで。
ニノも自然体で笑ってて。
女装姿のままだけど、人目を気にしてる様子も、無理してる様子もない。