第15章 誕生祝い to Jun * 3rd
そう言うと、パッと智の顔が明るくなった。
「そう思う?」
「思うよ」
完全に克服出来たかは不明だけど、確実に前より気にしなくなってると思う。
「良かった!それなら俺も心を鬼にした甲斐があるよ」
「鬼になったんだ?」
「そうだよ。本当はニノを泣かせたくなんてないのにさ、今回はニノの涙にも負けないで頑張ったんだよ、俺」
ふにゃっと嬉しそうに笑う智は全然鬼には見えないけど。
すごく頑張ったのは分かる。
「ニノは愛されてるな」
「ふふ…俺、かなり愛しちゃってるよね」
智と2人、目を合わせてクスクス笑う。
冗談めかしたけど、本当にニノは智に愛されてると思う。
ちょっと羨ましいくらいに。
「でもそんなに愛してんのに、そのニノのせいでこんな格好する羽目になって、智は災難だったな」
女装を強制された上に、ニノの宥め役まですることになって、智からしたら良いことなんか何もなかっただろう。
ま、俺はこんな可愛い智が見れてラッキーだけど。
でも智はふるふると首を横に振った。
「俺はね、潤が喜んでくれたから、それだけでいいんだよ」
「…え?」
「潤のためじゃなかったら、いくらニノに頼まれたってこんなカッコしないよ。俺は潤のために女装したんだよ?」
それって…
「ニノより潤のが愛されてるんだからね…それはちゃんと知っててね…///」
「………っ!?」
智は普段こういうことをあんまり言葉にしてくれないのに。
突然めちゃくちゃ可愛い顔してめちゃくちゃ可愛いこと言うから。
心臓が止まるかと思った。
その後はもう、智しか見えなくなった。
ニノしか見ない翔を笑えないくらい、俺の目には智しか映らなくて。
確かに見たはずの花火もほとんど記憶にない。
覚えてるのは花火を見てはしゃいでた可愛い智の笑顔だけ。
それでもそれが最高に幸せだった。
ありがとう、智
俺も愛してるよ
これからも末永く、どうぞよろしく…