第15章 誕生祝い to Jun * 3rd
とりあえず雅紀たちが待っているから移動しようと、再び電車に乗り込む。
花火大会に向かう人が多いのか、さっきとは違って電車が混んでいて。
いや、マジで迎えに来て良かった!!
こんな満員電車に智とニノを2人だけで乗せるとか…想像もしたくない。
人に押されて翔たちと少し離れてしまったが、翔が全力でニノを守っているのは見える。
そしてそれは俺も同じで。
腕の中に智を閉じ込めて、智が押し潰されないよう必死だ。
電車が揺れる度に背中にかかる圧に耐える。
「潤、大丈夫?」
ほんの少し眉を顰めてしまったら、すぐに気づいた智が心配そうに顔を曇らせる。
智を守るためなら、これくらいなんてことない。
なんてことないんだけど!
至近距離でのうるうる上目遣いとか。
密着状態が恥ずかしいのか、それとも単に暑いのか、ピンクに染まった頬とか。
周囲を気にしているのか、耳元で囁くようにして喋る小さな声とか。
その全部にドキドキしてしまって。
「………ダイジョウブ」
大丈夫だけど、大丈夫じゃない!!
智が可愛すぎてヤバいんだって!!
このままじゃまた何か智を困らせることを口走ってしまいそうで。
えーと…えーと…
「…あ、そうだ!この女装はニノと一緒に計画したのか?」
無理やり話題を探して、自分で自分の気を逸らしてみる。
「ううん、ちがうよ。この計画さ、俺にもサプライズだったんだ」
「え?そうなの?」
智が女装を全然嫌がってないから…いや、むしろノリノリに見えたから、てっきり計画から関わってたんだと思った。