第15章 誕生祝い to Jun * 3rd
-Mside-
ニノにいつもの笑顔が戻って。
智もいつもの穏やかな笑顔に戻った。
翔とニノがイチャイチャしだしたのを見て、智の固く握り締められていた拳が解かれる。
あまりの殺気に、マジで今日が翔の命日になるんじゃないかって思ってたから、何事もなく収まってホッとした。
いや、それにしてもこの状況は一体何なんだ?
今日は予定通り、早めに智とニノ以外の4人で集まって。
みんなで協力して無事によく花火が見えそうな場所を確保出来た。
場所さえ確保出来てしまえば、あとは呑気なもんで。
屋台で買ったものをつまみながら、智たちが合流するのを待ってたんだよ。
そしたら何故か智から翔のスマホにメッセージが届いて。
それを読むなり翔の顔色が変わった。
大変だ!すぐに行かなきゃ!と焦った様子で叫ぶと、ろくな説明もないままに引きずるように駅まで連れて行かれ。
気がつけば電車に乗っていた。
「おい、どうしたんだよ?智とニノに何かあったのか?」
「そうなんだ!大変なんだよ!」
翔のただ事じゃない様子に俺まで不安になっていたけど。
「これ!見て!」
そこで、智からのメッセージを見せてもらってようやく事情が分かって。
がっくりと全身の力が抜けた。
ただ迎えを催促されただけじゃねぇか!!
何にも大変じゃねーよ!!
ポカンとしてる間に置き去りにされた雅紀たちにすぐ連絡をする。
あいつらも絶対心配してるはずだから。
んで。
駅まで迎えに来てくれって言ってんのに、なんで電車に乗ってんだって。
行き違いになったらどうすんだって、翔を怒ったけど。
尋常じゃなく可愛くなってるらしいニノを心配する翔には何も響かず。
だからといって、周りが見えなくなってる翔を放置するわけにもいかず。
そのまま翔に付き添ってここまで来て、今に至る訳だ。