第15章 誕生祝い to Jun * 3rd
「大丈夫大丈夫!」
安心させるように笑顔を見せながら、カズをそっと引き剥がす。
とっても幸せな体勢だけど、あのままじゃ鼓動が速くなる一方で、カズに心配掛けちゃうからね。
「ねぇ、カズ。ちょっと耳を澄ませてみて?」
「え?なに?」
さっきまでは余裕がなくて、周りの声なんて聞こえてなさそうだったけど。
落ち着いた今なら聞こえるんじゃないかな。
あちこちで囁かれてる称賛の声。
“あの子たち本物の双子かな?可愛いね♡”
“本当ー!美少女だねー♡”
“彼氏さんたちもイケメンじゃない?”
“美男美女で超お似合いだね♡”
タイミングよく近くを通った女の子たちのお喋りが聞こえてくる。
カズにもバッチリ聞こえたみたいで。
ボボボっと真っ赤になった。
「聞こえた?」
「………うん///」
「あんな俺たちのこと何も知らない人たちが見てもカズは超可愛いんだよ」
本当はこんな可愛いカズ誰にも見せたくない。
俺だけの宝ものだもん。
誰の目にも触れないように隠しておきたいよ。
俺以外の声なんて聞かないでほしいよ。
でも俺たちの言葉だけじゃきっと足りないから。
第三者の正直な評価がカズの自信に繋がるといいな。
でも赤い頬を押さえたカズが照れながら喜んでいたのは…
「超お似合いだって…///」
うーん、そこかぁ…
いや、俺だってお似合いと言われるのは嬉しいけども。
俺はカズを可愛いって褒めてる言葉に耳を傾けて欲しかったんだけどな。
「んふふ♡嬉しいね、翔ちゃん♡」
まぁ、カズが自信を持てたかは謎だけど。
こうやって幸せそうに笑ってくれるなら、もうそれだけでいいか。