第15章 誕生祝い to Jun * 3rd
「こんなの謝ってもらうようなことじゃないよ」
「でも…」
「慰めてくれなくて大丈夫…俺、自分でちゃんと分かってるから…」
ああ、ダメだ…
全然伝わってない…
「分かってないよ!カズは本当に本当に可愛いんだよ?」
「そんなこと…」
どうしたら分かってもらえるんだろう。
カズは本当に可愛いんだって。
そんな悲しい顔する必要なんてないんだって。
「カズが可愛すぎて、俺の心臓こんなになってるの…分かる?」
カズの手を取って、俺の胸にあててみる。
聞こえるかな。
カズにときめきまくってる証拠の音。
カズは不思議そうな顔で、しばらくされるままになってたけど。
困ったように首を傾げると、急に少しかがんで耳を俺の胸にぺたりとつけた。
突然の行動に心臓がドキンと跳ねる。
「あ…聞こえる。すごいドキドキしてる」
「カズがすごく可愛いから、ドキドキしっぱなしなんだよ」
「翔ちゃん…///」
カズがポっと頬を染めて俺を見る。
慰めでもなんでもなく本気で可愛いって思ってることが伝わったのか、カズがまとっていた悲壮な空気はいつの間にか消えていて。
いつもの可愛らしいカズに戻ったのはとっても良いことなんだけど。
カズはまだ俺の胸にくっついていて。
そのまま俺を見上げてるもんだから、自然と上目遣いになる訳で。
こんな至近距離でめちゃくちゃ可愛い顔で上目遣いされたらさ…
「わっ、もっと速くなった!ねぇ、こんなにバクバクしてて大丈夫なの?」
カズが心配そうに聞いてくるけど。
そりゃ、鼓動も速くなるよね。
大丈夫か大丈夫じゃないかで言ったら全然大丈夫じゃないよ。
カズが可愛すぎて心臓止まりそう。
死因がカズに見つめられたことだなんて、これ以上幸せな死に方はないよね。
いや、カズを泣かせたくないし絶対死なないけど。